いくつ峠を越えたら
願いが叶うだろう。
巡礼者の一途さが宿る道。
山麓の宿場町・橋本から高野山へと通じる黒河道(くろこみち)。
苔に覆われた幻想的な石段を一歩一歩踏みしめて、ひたむきに聖域を目指した人々。その足音や息づかいが感じられる趣深い登山道です。
世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部で、急な雷雨に見舞われた豊臣秀吉が弘法大師空海を畏れて馬で駆け下りたという言い伝えも残ります。
COURSE
橋本駅からほぼ真南に高野山を目指す約16.5km。
民家のない山間部が続き、峠越えや激しいアップダウンが多い健脚者向けルートです。
十分に準備して、時間に余裕を持って臨みましょう。
約15.7km・5時間30分
POINT
高野山参詣道の中ではやや起伏ある登山道ですが、その分、雑木林や渓流など豊かな景観を楽しめます。
周辺集落の生活道や物資輸送路としても重要な役割を果たしてきました。
林の中には石仏や祠が静かに佇み、集落跡や史跡が多く遺されています。
黒河道のスタート地点。本尊の阿弥陀如来座像(秘仏)は平安期の10~11世紀のものといわれています。また、庫裏は江戸後期の建築で、国の登録有形文化財となっています。
定福寺から五町ほど上がったところの集落、さらに柿畑を通り急坂を二町ほど登ると石仏が祀られています。そこからの眺めは格別です。
九度山町天然記念物・桂の木があります。樹齢推定300年以上の大木で四季折々葉の色が7色に変わるという特徴があります。
休校となっていた旧久保小学校が「くどやま森の童話館」として生まれ変わり、豊かな自然に囲まれた木造校舎で、木や森に関する絵本や童話、高野山関連の専門書などが設置されています。
粉撞峠に祀られている粉撞地蔵は室町時代に金剛峯寺座主「検校重任(けんぎょちょうにん)」が建立したもので、高野山の結界を示す道標だったとみられ、黒河道は重要な参拝道だったと考えられています。
樹齢推定700年以上の大杉です。見上げて、触れて、ぐるりと一周することで、生命のパワーを感じることができます。
ACCESS
黒河道の起点・橋本駅までは南海なんば駅から南海高野線で約50分。