• 2025.11.28
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【グレーターミナミTRAIN】大阪産(もん)が紡ぐ、南大阪の風土と人の物語

B!

南大阪首長リレー企画の第3回は、河内長野市・西野市長が登場。22市町村の首長が連携する「南大阪創生首長会議準備会」の様子や河内長野市の観光戦略を語っていただきました。
さらに、特別列車「グレーターミナミTRAIN」の車内に掲出された、日本書芸院による「大阪産(もん)」の書に込められた、食材の物語や地域に生きる人々の誇りについてご紹介します。

目次

南大阪首長リレー Vol.3|河内長野市 西野市長インタビュー①

南大阪のまちを、ひとつの光の帯のようにつなぐ「南大阪首長リレー」。
泉大津市・南出市長からバトンを受け、第3回のご登場は河内長野市の西野修平市長です。河内長野市は南海高野線沿線に位置し、世界遺産・高野山の玄関口として古くから重要な役割を担ってきました。自然・歴史・文化を兼ね備えたまちを率いる市長の言葉からは、南大阪の未来を切り拓こうとする情熱があふれます。



河内長野市役所にて西野市長


22市町村がひとつに、南大阪首長創生会議

質問:南大阪首長創生会議が行われたそうですが、詳しく教えていただけますか?

西野市長:先日、第2回南大阪創生首長会議準備会が堺市役所で開催されました。3月に続き、22の市町村の首長が再び集まりました。大和川以南のまちが一堂に会するのは壮観であり、地域の未来を真剣に語り合うその場は、私にとって大きな刺激になりました。



第2回南大阪創生首長会議準備会の様子


西野市長:「南大阪地域を“食・歴史文化・自然・産業”という多角的な視点から元気にしよう。そのために、広域連携を進め、地域課題を一緒に解決していこう!」そうした思いを共有し、11月には正式に協定を結ぶ予定です。会議では、それぞれの地域が抱える課題や希望を率直に話し合いました。

その後、南海電鉄遠北会長や関西エアポートの山谷社長とも南大阪の広域連携について意見を交わしました。どうしても北摂や京都・神戸に人の流れが集まりがちですが、南大阪だって負けていません。歴史も文化も自然も、ここにしかない魅力がある。南大阪が誇りを取り戻すために、私も全力を尽くします。



グレーターミナミTRAINで沿線案内人に

質問:グレーターミナミTRAINに沿線案内人として参加されていかがでしたか?

西野市長:グレーターミナミTRAIN沿線案内人として、車掌ブースに入り、車内アナウンスで南河内の魅力をPRさせていただきました。
さらに、高野線の白鷺駅では、河内長野市役所がおもてなしを担当しました。河内長野市のゆるキャラ「モックル」と、つぼ装束を身にまとった中世びと。ここで下車し、みんなで一緒にホームから参加者たちをお見送りさせていただきました。



「大阪産(もん)河内長野市×小山田の桃」の広告と河内長野市西野市長と小山田の桃の書を揮毫した書家真鍋井蛙先生



白鷺駅でお見送り



モックルもお見送り

南大阪首長リレー Vol.3|河内長野市 西野市長インタビュー②

高野山への玄関口としての使命

質問:河内長野市の観光戦略についてお伺いできますか?

西野市長:河内長野は“高野山のゲートウェイ”です。東西南から伸びる高野街道が交わる歴史的な要衝であり、岩湧山をはじめとする自然資源にも恵まれています。高野山参詣の前後に、ぜひ河内長野へお立ち寄りいただき、本市の魅力をより深く感じてもらいたいです。




高野街道(酒蔵通り)の様子


西野市長
:宿泊施設の不足は課題ですが、私たちは大規模なホテルを誘致するのではなく、古民家や酒蔵通りの建物をリノベーションし、その土地ならではの滞在体験を提供する方向で進めています。観光の本当の魅力は、日常に溶け込んだ風景や人の営みにあります。

たとえば、南海高野線天見駅近くの旅館「あまみ温泉南天苑」。昭和24年創業、辰野金吾設計の建物を移築した歴史ある宿です。庭園の池では野鳥が舞い、四季折々の景色が訪れる人の心をつかみます。外国人観光客は、日本の伝統建築やのどかな里山の風景に強く惹かれているようです。私たちが“当たり前”だと思っている日常が、実は大きな観光資源なのです」



文化財を未来につなぐ力へ

質問:文化資源の活用についてはいかがでしょうか?

西野市長:河内長野には観心寺や天野山金剛寺をはじめ、数多くの文化財があります。「大阪・関西万博2025」では、本市在住で音楽家のサキタハヂメ氏を芸術監督とし、国宝『日月四季山水図屏風』を題材に音楽や映像を融合させた「奥河内音絵巻 2025 日月山水タイムマシン」を行い、「国宝×音×映像×万博!」を河内長野から世界へ発信しました。
本公演は、本市が誇る 国宝『日月四季山水図屛風』の世界を舞台として 、 アーティストや市民など総勢400名以上が出演し、本市の自然や歴史の魅力と、西アフリカ・ブルキナファソやヨーロッパ・チェコ共和国の音楽をコラボレーションさせた没入型アートステージとなり大いに盛り上がりました。
文化芸術は国境を越え、人の心をつなぐ力を持っていることを強く感じることができました。


奇跡の舞台「奥河内音絵巻 2025 日月山水タイムマシン」


西野市長:私はこの体験を通じて、文化財を“守る”だけでなく“活かす”ことの大切さを痛感しました。河内長野駅が、美術館のように歴史や文化に触れられる空間になればどんなに素晴らしいか。そんな構想も膨らんでいます。文化はまちの誇りであり、人を惹きつける力。未来を担う子どもたちにも、ぜひこの魅力を感じてほしいと思っています。


河内長野市役所の『日月四季山水図屛風』の陶板画

南大阪首長リレー Vol.3|河内長野市 西野市長インタビュー③

人口減少を希望の光に変える

質問:人口減少や移住促進の取り組みについてはいかがでしょうか?

西野市長:大阪府内で最も人口減少率が高いのは残念ながら河内長野です。しかし一方で、中学生以下の人口は「流入」が「流出」を上回っているんです。団地の空き家に若い世帯が増加し始めています。これは小さな光ですが、確かな希望です。
教育においては、子どもたちが主体性を発揮し、探求能力を高める学びへとシフトし、自己肯定感を高められるよう取り組んでいます。子育て支援では副食費の無償化や“手つなぎ登園”といった制度を導入し、保護者の負担を少しでも軽減しています。
また、南海電鉄と連携し、定住・転入促進やブランディング事業を進めてきました。河内長野駅を起点にぶらり旅をしていただき、自然豊かで子育てしやすい環境を実感していただきたい。実際に歩き、感じてもらえれば、このまちでの暮らしの魅力が伝わると信じています」



山から海へ――未来をつなぐバトン

質問:最後に、次のバトンを渡す首長のご指名をお願いします。

西野市長:次は阪南市の上甲市長にお願いしたいと思います。高野線の森から、本線の海へ。山と海をつなぎ、南大阪の魅力をさらに広げたい。
私は、河内長野だけでなく、南河内と泉州、そして南大阪全体が一体となって未来を切り拓く姿を思い描いています。地域の境界を越えて人々がつながり、互いの強みを生かし合いながら発展していく。その大きな流れを生み出すために、私も先頭に立って挑戦し続けます。南大阪をもっと誇れる地域に――その思いでこれからも取り組んでまいります。

大阪府 × 南海電鉄 × 日本書芸院が紡ぐ、南大阪の風土と誇りの物語

西野市長が沿線案内人となったグレーターミナミTRAINのイベントでは、海と山に抱かれ、豊かな食文化と人々の営みが息づく南大阪の土地の記憶を「大阪産(もん)」の言葉に託し、南大阪の22の地域を書の力で紡ぐプロジェクトを行いました。大阪府環境農林水産部の協力のもと、日本書芸院による揮毫(きごう)が実現。南海電鉄の沿線を舞台に、“走る書”として列車に命を吹き込み、食材の物語と地域の誇りを筆が語ります。
この取り組みは、書と食が出会う空間を創出し、南大阪に新たな風を吹き込むものであり、行政・交通・文化の三者が連携することで初めて形になったものです。


グレーターミナミTRAINの車内に掲出された、大阪府の『大阪産(もん)』を綴った日本書芸院の書の数々。


今回のイベントでは、日本書芸院に「大阪産(もん)」の書を揮毫協力してもらうために、大阪府環境農林水産部・ブランド戦略推進課の池永恭子課長補佐に「大阪産(もん)」の本質と、南海沿線が担う役割についてお伺いしました。



「大阪産(もん)」は認証ではなく“概念”

「大阪産(もん)」は大阪府が認定するブランドではなく、“大阪らしさ”を伝える概念。 「認証よりも、土地の風土や人の営みを感じられることが大切なんです」と池永氏。
その考えのもと、地図付きパンフレットやストーリー性のあるPRツールが整備され、地域の魅力をより深く伝える取り組みが進められています。「大阪の食材は、どれも背景に物語があります。それを伝えることで、食が文化になるんです」


大阪府環境農林水産部・池永課長補佐。『大阪産(もん)』という言葉に込めた、地域への思いを語っていただきました。

食の都・大阪を支える“最も近い山地”

「大阪の食文化は、海だけではなく、山にも支えられています。南海沿線の山地は、割烹料理との親和性が高い伝統野菜の宝庫なんです」と池永氏。
たとえば、泉州地域で育まれる「難波ネギ」は、鴨肉と合わせた「鴨なんば」として復活し、甘みの強い肉質とともに地域の誇りを再発見する食材に。また、岸和田・貝塚の「水ナス」は、全国でもトップクラスの出荷量を誇り、柔らかさと香りの良さで“生で食べる”魅力が注目されています。
「大阪の野菜は、割烹料理の繊細な味わいに寄り添う力があります。こうした食材をもっと知ってもらいたい」と語る池永氏の言葉には、地域への深い愛情が滲みます。



書が語る、食の記憶
大阪でしか味わえない、河内長野の山の恵み──「小山田の桃」

南海電鉄高野線の沿線である河内長野市は、別名「奥河内」とも呼ばれ、周囲を山々に囲まれた自然豊かな地域です。日本遺産に三つも認定されるほど、歴史と文化が息づくスポットが点在しています。
その中でも「小山田丘陵」は、南海電鉄との縁が深く、果樹栽培に適した陽当たりの良い土地として知られています。ここで育まれるのが、大阪産(もん)として認定された「小山田の桃」。完熟直前に収穫されるため、果肉は柔らかく、甘みと香りが際立ちます。地元では非常に人気が高く、直売所での販売はもちろん、ふるさと納税の返礼品としても多くの人々に親しまれています。


真鍋井蛙先生(日本書芸院常務理事・日本篆刻家協会理事長) 河内長野市 「小山田の桃」



海の恵みもすぐそばに

「南海線沿線では、泉州のアナゴ、シラス、牡蠣など、海の幸も沿線からすぐアクセスよく食べることが出来ます」と池永氏。 泉佐野市は「げんこつ赤貝」も有名で、泉佐野漁業協同組合が泉佐野市で水揚げするブランドの赤貝で、特に300g以上の大きなものを「げんこつ」と呼びます。大阪湾産の恵まれた環境で育ち、肉厚でコリコリした食感が特徴です。お刺身や寿司、熱を通すなど、様々な食べ方で楽しめます。 池永氏は「市内から30分ほどで海の風景に出会える。これは大阪の大きな強みです。関空からのアクセスも良く、インバウンドのお客様にもぜひ知っていただきたいですね」と話します。


糸見溪南先生(日本書芸院参事・TV「必殺」全シリーズ題字作家) 泉佐野市 「泉州げんこつ赤貝」

鉄道と食がつなぐ、地域の未来

「南海沿線で出会える海と山の恵みは、地域の魅力をつなぐ架け橋になる」と南海電鉄の永田部長に熱く説明する池永氏。
 左から南海電鉄CEO補佐付永田修一部長、池永課長補佐、池田 留巳主査


鉄道と食の連携が生む、新しい旅のかたち

「南海電鉄さんと大阪産(もん)の書の連携は、地域の食文化を伝えるうえで非常に有効です」と池永氏。「南海沿線には、食べて、買って、体験できる場所が揃っています。車ではなく、鉄道で行けるというのが、他県にはない大阪の強みです」と語ります。



地域の鼓動を伝える“言葉の旅”へ

「大阪もん」の魅力は、食材そのものだけではなく、それを育てる人々、土地の記憶、そして季節の移ろいにあります。こうした地域の鼓動を伝える取り組みが進行中。食を通じて、地域の美しさと奥深さを感じる旅へ。大阪もんの物語は、あなたの一皿から始まります。

【南海電鉄×日本書芸院】言葉で旅を走らせる

「『大阪産(もん)』という言葉が、書となって車内を走る。食と文化、そして言葉が交差する一日。」

伝統と創意が響き合う吊り広告



特別列車「グレーターミナミTRAIN」の車内に「大阪産(もん)」の食材をテーマにした吊り広告を掲出しました。掲出にあたり、日本書芸院の役員22名に揮毫協力していただきました。大阪府環境農林水産部にもご協力頂き、交通・行政・文化が手を携え、南大阪の風土と誇りを伝える新たな表現が生まれました。
書は、三千年にわたる古典の普遍美を深く学びながらも、書き手の内奥から滲み出る一回性の芸術。その瞬間、その場でしか生まれない命のような筆跡は、同じ古典を学んでも決して同じにはならない…そこにこそ、書の尊さがあります。
今回の吊り広告は、商業デザインとしての“作りもの”ではなく、「本格の書の輝き」と「伝統と創意」に基づいたプロの書家による真摯な表現。南海電鉄の車両空間に、書と食が出会い、南大阪の風土が息づく場が初めて一堂に会しました。
この協働は、地域文化の継承と創造を担う新たな一歩であり、南大阪の魅力を内外に伝える力強い連携の象徴でもあります。



取材・制作:KINACO通信社



KINACO通信社は、元地方新聞記者が立ち上げた地域密着型の情報発信チームです。大阪・和歌山エリアをフィールドに、まちの魅力や人々の営み、観光・文化・食など、日々の暮らしの中にある「ローカルの宝物」を掘り起こし、丁寧に伝えています。
まちの魅力を、読者の皆さまと一緒に再発見していけたらと思っています

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