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かつて世界遺産・高野山へは、庶民から権力者まで多くの人々が参詣道を歩いて訪れました。
近代にその険しい道のりを切り拓き開通した南海高野線は、
現代の参詣道でありつつ、山岳鉄道ならではの特徴が詰まっています。
その見所スポットを、鉄道好きの目線で厳選してご紹介します!
画になる風景
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丹生川橋梁
名勝・竜王渓にかかる橋梁。赤い鉄橋が周囲の風景に映え、四季によって表情が変わる。トンネルと川と橋脚のバランスが取れた構図は、高野山の麓随一の写真スポット。
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中古沢橋梁
全国でも希少な鉄道トレッスル橋。橋脚の下から走行する電車を仰ぎ見ることができる。周囲の緑と赤の橋脚のコントラストが美しい。
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笠木橋梁
Rのきつい急カーブの橋梁を走行する様子はまさに山岳鉄道を象徴しており、南海電鉄のポスター等にもよく使用される。木々の間を縫って電車が現れる一瞬のシャッターチャンスを逃さずに。
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九度山駅
駅を俯瞰しながら電車が離合する様子を撮影できる。周辺の木々も豊かで四季によって表情が変わり、シーズンごとに訪れる人も。
トンネルがすごい
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高野山森林鉄道廃線跡
当時使われていた手掘りのトンネルが今も現役で使われている。周辺にはトンネル以外にも当時の遺構が残っており、それらを辿るもの面白い。
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入谷トンネル
(紀伊細川駅)トンネルを出た直後、極楽橋方面に向かう電車をRのきつい急カーブと転轍機が待ち受ける。山岳鉄道の厳しさがよくわかる光景。
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大迫トンネル
(紀伊神谷駅)トンネルの奥までまっすぐに見通すことができ、急勾配であることがひと目でわかる。難波方面に向かう電車を観察していると、列車が「降ってくる」ような感覚が味わえる。
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大師第16号橋梁
レンガアーチのトンネルだが、積み方が「ねじりまんぽ」ではなく水平に積まれている。端部の処理がノコギリ状になっているのも特徴。
降りて散策&探索
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貨物支線跡
かつては紀伊清水~学文路間から、紀の川に向けて砂利運搬目的の貨物線が分岐していた。跨線橋の下にそのレールが残っており、線路跡が転用された道路にも面影が感じられる。
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桜並木
学文路~九度山駅間には線路に沿って見事な桜並木があり、春限定で、満開の桜が間近まで迫る車窓からの風景が楽しめる。電車を降りて付近を散策するのも気持ちがよくおすすめ。
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高野下駅の転轍機
駅の直後に橋脚があるため、その上に転轍機があるという特徴的な構造。電車を降りて付近を散策すると、高台から駅と橋脚と転轍機を一望できる。
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ニホンカモシカ
高野山には特別天然記念物であるニホンカモシカ等の野生動物が多数生息している。運がよければ、ケーブルカーの車内から見ることができるかも?
個性的な駅たち
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紀伊神谷駅
駅前には民家も売店も自販機もない、まさに秘境駅。その風情ある佇まいと、大阪市内から2時間以内で到着するというギャップが面白い。
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高野山駅
木造建築の登録有形文化財であり、高野山参りの玄関口としての風格が感じられる。2階のギャラリーには高野線の沿革や過去の行幸啓などの貴重な資料が展示されている。
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九度山駅
おむすびスタンド「くど」のイートインスペースが隠れた鉄道スポット。自由に触れるCTC制御盤と昭和30年代の沿線案内図が設置されており、タイムスリップ気分を味わえる。
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高野下駅
駅全体がミュージアム。100年以上前に作られた外国製の古レールが駅舎の柱として活用され、その刻印が読み取れる。ホーム上には犬釘や南海の旧社章マークなどの展示も。
駅舎ホテル
NIPPONIA HOTEL
高野山 参詣鉄道
PILGRIMAGE RAILWAY
ご紹介したスポットを制覇するには時間がかかるもの。
高野下駅に誕生した関西初の駅舎ホテルを拠点に、じっくり楽しんでみては。
POINT
駅舎ホテルのポイント
- 駅係員の宿直室や乗務員の休憩所をリノベーションし、往時の雰囲気が随所に残されている。
- 客室内には南海7100系のパーツが散りばめられている。運転台の扉や座席、無線受話器など普段は触れない鉄道部品を自由に楽しめる。
- 明治~昭和の時刻表や沿線案内・パンフレットなど、南海電鉄保有の歴史的資料のレプリカを客室内に設置。じっくりと目を通すことができる。
- 宿泊者専用の往復きっぷは、「ごはんは九度山でどうぞ」のメッセージが記された特別製。記念に持って帰るのもよし。