【グレーターミナミTRAIN】南海本線で巡る、海の幸とお茶文化を味わう美食列車の旅
9月27日(土)に運行する、南大阪の魅力を食で巡るイベント列車「グレーターミナミTRAIN」。今回は南海本線を走る「わがどん列車」で楽しめる、泉州の新鮮な海の幸や堺の歴史あるお茶文化についてご紹介します。さらに、「わがどん列車」に乗車される泉佐野市の千代松市長のインタビューも掲載。泉佐野の食の魅力や「グレーターミナミTRAIN」への想いを語っていただきました。
目次
南大阪の魅力を食で巡る「グレーターミナミTRAIN」」

9月27日(土)、南海沿線の「食」の魅力を発信することを目的としたイベント列車「グレーターミナミTRAIN」を運行します。
南海本線を走る「わがどん列車」では、泉州の旬の魚介を自由にトッピングできる“わが(自分)どん(丼)”を楽しむことができます。新鮮な釜揚げしらすやタイ、サワラなど、地元の食材をふんだんに使ったオリジナル海鮮丼が堪能できます。味の決め手となる醤油は、大阪唯一の老舗「大醤株式会社」の逸品。南海沿線の食文化がぎゅっと詰まった一杯を、車窓からの海の景色とともに味わってください。
また、堺の老舗茶舗「つぼ市製茶本舗」の冷たい水出し煎茶と和菓子「利休餅」がセットになった、千利休ゆかりの「利休セット」も登場。車内では、「つぼ市製茶本舗」の谷本社長による「堺とお茶」のトークも行われ、歴史を感じながらお茶と和菓子をお楽しみいただけます。事前予約制で参加できるお点前体験では、自らお抹茶を点てることもできる特別な体験をご用意しています。
さらに、当日は泉佐野市千代松大耕市長が南大阪の食の魅力を紹介するなど、移動そのものが「地域を味わう旅」に。商工会議所や地域の事業者による車内販売も実施し、南海沿線の食の魅力を五感で楽しむことができます。
イベント概要
グレーターミナミTRAIN「わがどん列車」
運 行 日 :2025年9月27日(土)
ル ー ト :なんば駅~みさき公園駅~なんば駅
参 加 費 :5,000円(税込)
※事前予約制
※お点前体験の参加を希望される方は、別途事前予約(先着15名)が必要です。(別途参加費2,000円)
予約方法:公式サイト からお申し込みください。
(申込期間:7月31日(土)10:00~定員に達し次第終了)
大漁のまち、泉大津「みかん」 で味わう、漁港の真実
泉大津で「鮮魚と惣菜の店 みかん」を営む小野林裕さんは、毎朝漁港に立ち、自らの目で魚の状態を確かめることを何より大切にしています。
「魚は、その日その日で表情が違う。海と対話して、魚と対話して、一番おいしい形で届けたい。」
その真剣なまなざしは、単なる魚屋ではありません。市場の取引や値段よりも、まず魚が一番輝く瞬間を知ろうとする漁場の語り部です。
小野林さんが手がける「わがどん」は、鮮度と丁寧な仕込みが命。黒鯛はそのままの生、サワラは炙り、サバは酢じめ、タコやエビはボイル、穴子は煮穴子。魚ごとに最適な仕立てで、まちの味を一杯の丼に込めています。
「魚をただ売るんじゃなく、そのいのちを食べてもらいたい。岸和田の魚って、こんなにうまいんやって思ってもらえたら、それが一番うれしいんです。もし大阪湾の魚のことを知りたいのなら岸和田市役所の田中さんを訪ねるといいよ」と教えてくれました。
小野林さんの思いが詰まった「わがどん」は、まちの味の入り口であり、食べる人の心にじんわりと残る一杯です。
鮮魚と惣菜の店 みかん
住 所:泉大津市旭町251-1(泉大津駅から徒歩2分)
電話番号:725-21-7311
営業時間:ランチ 11:00~14:00 ディナー 17:00~23:00
定 休 日 :日曜日
魚をいきる、黒鯛の物語
次に、小野林さんにご紹介いただいた岸和田市役所農林水産課の田中昌博さんに大阪湾のお話をお聞きしました。
田中さんによると漁師さんから言われことがあったそうです。
「黒鯛(チヌ)を何とかしてくれんか。市場で安く叩かれて、このままじゃ、岸和田の魚が消えてしまう。」
黒鯛は大阪湾で豊富に水揚げされる魚ですが、その価値が伝わらず、時には捨てられてしまうこともありました。
「この魚は、もっと誇れる魚なんやって、地元の人に知ってほしかったんです。」
田中さんは、みかんの小野林さんを介して地元の飲食店を繋ぎ、黒鯛フェアを開催。地元の魚を地元で食べる、新しい流れを作りました。
さらに、岸和田では20年以上続く「魚庭(なにわ)の森づくり」という活動があります。こちらの活動では、春木川の上流・神於山(こうのやま)に木を植え、山の栄養を海に届けています。
黒鯛の未来は、海と森、まちをつなぐ。田中さんたちの取り組みは、大阪湾の誇りそのものです。
大醤の味を続ける、しょうゆの未来
そして、わがどんのタレを担当する堺の「大醤株式会社」へと向かいました。
江戸時代1800年に堺で創業した大醤株式会社は、いまや大阪で唯一の醤油醸造メーカー。
堺の町に根を張り、地元の味を守り続けてきました。
しかし、その歴史は決して平坦ではありませんでした。第二次世界大戦下、堺の大空襲では、工場も蔵もすべてが焼け落ちてしまったそうです。ところが、奇跡的に「もろみ」だけは焼け残り、大切な麹菌も生き延びたのです。その「河又菌」は、明治時代に日本で初めて純粋培養に成功した、唯一無二の菌。その菌が、戦火を超えて、時代を超えて、今も大醤の味を支えています。
その後、実際に工場を訪ね、営業部の堀井勝之さんにお話を伺いました。
「今回、グレーターミナミTRAINで使ってもらえるのは本当に嬉しいことなんです」と堀井さん。「泉州の海鮮丼に、堺の伝統の醤油。南大阪の美味しさが詰まった一杯になりますよ」と、やさしく語ってくれました。
今回の「わがどん」に使用する醤油は、大醤が誇る超特選本醸造濃口醤油の「王醤」で、大阪府が認証する「大阪産(もん)名品」に認定されているそう。実際に味わってみたところ、口に入れた瞬間に広がるまろやかな旨味と、後味のキレの良さに驚きました。しっかりとコクがあるのに、素材の味を邪魔しない。まさに「わがどん」にぴったりの醤油だと感じました。
「グレーターミナミTRAIN」で「わがどん」を召し上がる際は、ぜひ大醤の醤油も味わってみてください。大阪・堺のものづくりの歴史と、南海沿線の海の幸が繋がる瞬間を、きっと実感できるはずです。
大醤株式会社
住 所 :大阪府堺市堺区石津北町20
電話番号 :072-243-0184(平日8:30〜17:00)
HP:大醤株式会社
インスタグラム:Instagram
オンラインショップ:https://shop.dai-sho.co.jp/
つぼ市製茶本舗で味わう、物語を飲む時間
食後のデザートとして車内で味わえるのは、堺の老舗お茶屋さん「つぼ市製茶本舗」の煎茶と和菓子。そんな「つぼ市製茶本舗」の堺本館があるのは、阪堺線「神明町」電停すぐ、堺の歴史ある紀州街道沿いです。
もともと仕出し屋だった築100年以上の建物を、現社長・谷本順一さんが「どうにか残したい」との思いから再生。「堺の建て倒れ」と言われるほど手間を惜しまない堺人気質を映すように、職人の手で丁寧に改修されました。
町家の奥に足を踏み入れると、まるで“市中の山居”。静けさと木の温もりに包まれた空間で、今回いただいたのは冷たい水出し煎茶と和菓子のセット。煎茶は渋みがほとんどなく、ふわりと甘く、心にすっと染み渡る優しいお味でした。
「お茶を飲むことは、物語を飲むこと。」と谷本さんは話します。
車内で提供される「利休セット」は、冷たい水出し煎茶と利休餅の組み合わせ。静かに流れる時間の中で、お茶の歴史を体感できる特別なひとときとなること間違いなしです。
「自分でお点前をしていただくと、自然とお茶に向き合う姿勢が生まれる。そんな時間をぜひ味わってほしい。」
江戸時代から続く堺の茶の心は、南海電鉄の列車の中でも、しっかりと息づくでしょう。
「つぼ市製茶本舗 堺本館」では、お茶の提供だけでなく、日本茶インストラクターによる淹れ方講座や利き茶体験も開催されています。また、季節限定の和スイーツも人気。なかでも一番摘み宇治抹茶を贅沢に使った「濃厚抹茶かき氷」は、暑い季節には行列必至の一品です。グレーターミナミTRAINでお茶を楽しんだあとは、ぜひ堺のまちを歩いて「つぼ市製茶本舗 堺本館」にも立ち寄ってみてください。本物のお茶の香りとともに、ゆったりと流れる時間が待っています。
つぼ市製茶本舗 堺本館
住 所 :大阪府堺市堺区九間町東1-1-2(阪堺線「神明町」電停すぐ)
電話番号 :072-261-7181
営業時間 :10:30〜18:00(喫茶 11:00〜17:30 L.O.)
定 休 日 :火曜(祝日の場合は営業)、年末年始
ゆるナキンのベビーカステラで、泉佐野の“おいしい笑顔”に出会おう!
最後に、スイーツの嬉しいお話です。
今回のイベント列車「グレーターミナミTRAIN」で、泉佐野市の一般社団法人 泉佐野シティプロモーション推進協議会(ICP)が、ちょっぴり甘くて、ほっこりうれしいプレゼントをご用意してくれました。
それは、泉佐野市の公式キャラクター「一生犬鳴!イヌナキン」の分身、「ゆるナキン」をかたどった、かわいらしいベビーカステラ。ふんわりと香る焼きたての甘い匂いに、思わず笑顔がこぼれます。
泉佐野市といえば、関西国際空港を有し、世界中から人が集まる街。3つの日本遺産、豊かな自然と歴史に恵まれ、泉州タオル、泉州玉ねぎ、水なすといった特産品に加え、大阪府唯一の温泉郷「犬鳴山温泉」や、白い石が広がる「マーブルビーチ」など、魅力がぎゅっと詰まったエリアです。
そんな泉佐野の“おいしさ”と“あたたかさ”を届けているのが、ICPのキッチンカー。泉佐野産のたまごをたっぷり使った特製ベビーカステラは、イベントなどでも地元の人たちに大人気です。
ゆるナキンのエプロンがよく似合う、ICPの事務局長木村圭介さんはこう語ってくれました。
「泉佐野を知ってもらうには、SNSだけじゃなく、やっぱりリアルで人と人がつながることが一番。まずは、地元の人たちに『おいしい!かわいい!』と喜んでもらえることが大事だと思っています。」そう言いながら、Tシャツに描かれたゆるナキンをやさしくさすり、にっこりとPRを続けていました。
一般社団法人 泉佐野シティプロモーション推進協議会
住所:大阪府泉佐野市上町3丁目8-12
TEL:072-461-0005
FAX:072-461-0006
南大阪の「食」を通じてまちを旅し、人と人をつなぐ「グレーターミナミTRAIN」。食べることは、まちを知ること。まちを知ることは、人と出会うこと。グレーターミナミTRAINで、あなたの五感が旅をはじめます。
次回は、高野線を走る「あまもん列車」をご紹介します。
取材の様子はこちら
南大阪首長リレー Vol.1|泉佐野市長・千代松大耕氏インタビュー
南大阪を味わう“玄関口”から未来へ――泉佐野市が牽引する「食の都」構想
南大阪・南海沿線の食と文化をひとつに束ね、列車でつなぐ「グレーターミナミTRAIN」。その運行に合わせて「いっぱいおでかけotent」では、南海沿線自治体の首長をインタビューでつなぐ連載「南大阪首長リレー」を掲載します。記念すべきトップバッターは、今回の「わがどん列車」にもご乗車される泉佐野市の千代松大耕市長。関西国際空港を玄関口に持ち、海・山・まちが交わる泉佐野市が進める“食によるまちづくり”の展望、そして南海沿線を「食文化圏」として発信していく構想についてお話を伺いました。
南泉州の“食”は、実に奥深い魅力にあふれていますね。
千代松市長:南海沿線のこの季節といえば、まず「水なす」です。水分が豊富で柔らかく、甘みがあって、あくが少ないため、生のまま刺身でも食べられるんです。泉州地域ならではの野菜で、漬物やサラダでも大変人気です。
そして、泉佐野漁港で獲れる「泉だこ」や「ハモ」、最近ブランド化した「泉州げんこつ赤貝」「泉州極みとり貝」など、海の幸も豊富です。夏には「泉州たまねぎ」と合わせた郷土料理「ハモすき」が人気ですね。青空市場では、その日に水揚げされた新鮮な魚を購入でき、レストランや寿司店でその場で味わうこともできる。まさに、“食を目的に訪れるまち”として、多くの方に来ていただきたいです。
泉佐野市の食文化の背景には、どんな歴史がありますか?
千代松市長:泉佐野は「山と海の交差点」です。和泉山脈の豊かな里山と、大阪湾・茅渟(チヌ)の海がもたらす漁場の恵み。このGREEN & BLUEの多様な自然環境が、古くからの食文化を育んできました。江戸時代には「北前船(きたまえぶね)」の寄港地として、北海道の海産物や各地の特産品が大阪・京都に運ばれたルート上の要所でもあり、料理人たちが食材を仕入れる拠点として栄えました。今でも、水なす、泉州たまねぎ、イチゴ、松波キャベツなどの農産物、泉だこ、ガッチョ、アナゴ、モズク、赤舌などの海産物が年間を通じて採れる、食材の宝庫です。
“食”を通じて、どんな地域活性化を目指していますか?
千代松市長:泉佐野市は“日本の玄関口”である関西国際空港を有しており、旅の初日や帰国前に多くの方が宿泊されます。そのタイミングで「泉佐野の食」を体験してもらえるようなプランを展開することで、広域的な食の観光回廊をつくることができます。
ビーガン対応や、地域食材を生かしたオリジナルメニューを提供できるよう、企業・飲食店とも連携して進めています。
関西国際空港を生かした「ガストロノミーツーリズム」への展望は?
千代松市長:泉佐野市は“日本の玄関口”である関西国際空港を有しており、旅の初日や帰国前に多くの方が宿泊されます。そのタイミングで「泉佐野の食」を体験してもらえるようなプランを展開することで、広域的な食の観光回廊をつくることができます。
ビーガン対応や、地域食材を生かしたオリジナルメニューを提供できるよう、企業・飲食店とも連携して進めています。
最後に、今回のグレーターミナミTRAINへの期待を教えてください。
千代松市長:グレーターミナミTRAINは、泉佐野を含む泉州地域を食で横串でつながることで、スケールメリットを活かし、最大限に活用できます。市民、事業者、そして次世代を担う若者たちと一緒に、多様な人々が同じ食卓を囲める「食のまち」を実現したい。フードダイバーシティの視点からも、泉佐野を世界に誇れる“南大阪の食都”にしていきます。
今回泉佐野市は、泉佐野産のたまごを使用した泉佐野市の公式キャラクター「一生犬鳴!イヌナキン」の分身である「ゆるナキン」を形どった特製のベビーカステラをプレゼントとして提供させて頂きます。是非、味わってください。
「南大阪首長リレー」Vol.1はいかがでしたか?次回は、泉大津市・南出市長にお話を伺います。お楽しみに!
取材・制作:KINACO通信社
KINACO通信社は、元地方新聞記者が立ち上げた地域密着型の情報発信チームです。大阪・和歌山エリアをフィールドに、まちの魅力や人々の営み、観光・文化・食など、日々の暮らしの中にある「ローカルの宝物」を掘り起こし、丁寧に伝えています。まちの魅力を、読者の皆さまと一緒に再発見していけたらと思っています。
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