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旅気分で巡って楽しむ、高野山ふもとのコーヒーイベント ― ジャパンコーヒーフェスティバル2025秋―

旅気分で巡って楽しむ、高野山ふもとのコーヒーイベント ― ジャパンコーヒーフェスティバル2025秋―

  • 2025.11.17
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旅気分で巡って楽しむ、高野山ふもとのコーヒーイベント ― ジャパンコーヒーフェスティバル2025秋―

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2025年10月18日(土)・19日(日)の2日間、高野山のふもとを舞台に「高野山とふもと ジャパンコーヒーフェスティバル2025秋」が開催されました。「ジャパンコーヒーフェスティバル」は、関西を中心に全国各地で行われている人気のコーヒーイベント。地元で親しまれるお店が出店し、コーヒーを通してその土地の文化や人とのつながりを感じられるのが魅力です。今回は、来春に定期運行を終える観光列車「天空」への感謝を込め、“ありがとう、天空”をテーマに開催。沿線の駅を巡りながら淹れたてのコーヒーの香りと笑顔に包まれた初日の様子をレポートします。

目次

運命の出会いが待つ小さな電車旅は、九度山駅から

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秋晴れの空の下、受付会場となった九度山駅には、朝から多くの来場者が集まりました。駅前・駅中にもコーヒー店が出店し、淹れたての香りに「いい匂い!」と頬をゆるめる人の姿も。


高野山のふもとでの開催は、2020年秋の初回から数えて11回目。2日間で和歌山・大阪・滋賀に加え、石川県や香川県、さらにはミャンマーからも18店舗が参加し、それぞれがありがとう、天空をテーマにこだわりの1杯を提供しました。


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受付ではフェス限定の「運命のコーヒーチケット」が出るガチャを回すのがお楽しみ。3枚つづりのうち1枚には、店舗名が記された「運命の1枚」が入っています。「偶然の出会いを楽しんでほしい」という主催者の思いが込められたもので、カプセルが出た瞬間の小さな歓声があちこちから聞こえ、これから始まる1日への期待感が伝わってきます。


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出店者の思いや駅の魅力が描かれたパンフレットを手に、「どの駅に行こうか」と話し合いながら、参加者たちは思い思いの目的地へ。「和歌山在住ですが、このあたりを電車で訪れるのは初めて。車窓から見える山の景色が新鮮です」と話すご夫婦の姿も。高野山ふもとの駅を巡る、小さな電車旅のスタートです。


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天空を眺めながら、極楽橋駅で味わう至福の一杯

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次に訪れたのは、南海高野線の終点・極楽橋駅。高野山ケーブルへの乗り換え駅でもあり、山々に囲まれた静かなホームに降り立つと、ドリップしたての香りがふんわりと漂います。


駅構内での出店は今回のイベントで唯一。停車中の観光列車「天空」を間近に眺めながら味わえる特別なロケーションで出店していたのは、世界遺産・熊野古道の玄関口・紀伊田辺市にある自家焙煎専門店「西八丁珈琲店」。店主の向井さんは、「天空は旅気分を盛り上げてくれる憧れの存在。ここで淹れられるなんて贅沢ですね」と目を細めます。


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そんな思いを込めて用意したのは、コロンビア・ウィラ県産ティピカ種の中深煎り。ラワードリッパーで丁寧に抽出された1杯は、ふくよかな香りとやわらかな甘み、冷めるほどに果実味のある酸味が顔を出します。「時間の経過とともに変わっていく味わいの表情を、景色と一緒にゆっくり味わってください」。奥さま手づくりの焼菓子も大人気で、塩気の効いたオリジナルクッキーが豆本来の甘みをやさしく引き立ててくれました。


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ホームのベンチでは、カップを傾けながらゆっくりと過ごす人たちの姿も。堺市からの来場者は、「沿線ユーザーですが、自然の中を巡りながらこだわりのコーヒーを楽しめる、こんな素敵なイベントがあるなんて。次回の春開催も必ず来ます」とにっこり。


イベントのファンだというコーヒー好きの会社員カップルは、「2人で1杯をシェアしながら1日で6軒巡る予定です。コーヒーを淹れていただいている間に、お店の方とじっくり話せるのも魅力。のんびりとリフレッシュする気持ちで楽しんでいます」。移動の合間に生まれる小さな会話や笑顔が、このイベントの温かさをいっそう引き立てていました。


慌ただしい日常から離れて穏やかな時間の中に身を置きながら、列車を待つ人も、コーヒーを手にする人も、どこかやわらかい表情をしていたのが印象的でした。

八坂神社の境内に心地よい香りと地元のおいしいものが集合

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高台に位置する紀伊細川駅は、絶景を望むビューポイント。木漏れ日の参道を10分ほど下っていくと、谷あいにたたずむ八坂神社の境内へ。高野山を開いた弘法大師・空海が修行中に立ち寄り、スサノオノミコトを祀ったことが始まりと伝わる由緒ある神社です。こちらには「AMAZING COFFEE ROASTER」と「ニチニチ〜日日〜」が出店していました。


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AMAZING COFFEE ROASTER」は、2019年まで大阪・福島で7年間店舗を構えていた自家焙煎スペシャルティ専門店。現在は豆の卸売を中心に活動する店主の高橋さんは、「この空気の中で淹れると、香りがより立体的になるんです」と話します。


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今回は10年来のつながりがあるインド・バドネカーン農園の豆を中深煎りでサーブ。心地よい香りや味わいだけでなく、農園のご子息の結婚式に参列する際、現地で調達したという衣装も、境内の雰囲気に自然と溶け込んでいました。


もう1軒の「ニチニチ〜日日〜」は、手網と小型焙煎機で毎日飲みたくなる味を届けるお店。店舗を持たず、オンラインやイベントで活動を続けています。「お店を始める前から『ジャパンコーヒーフェスティバル』のファンで、いつか八坂神社でコーヒーを淹れたいと思っていたんです。この自然のロケーションと香ばしい匂いの相性が最高です」と微笑みます。


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今回は、観光列車「天空」の車両コンセプト「俗世界から精神世界へ」に寄り添う、中煎りのブレンド「気配と余韻」(中煎り)を考案。カップから立ち上る香りは穏やかながら、口に含むとやさしい甘みの奥に凛とした芯が通ります。飲み終えた後にも余韻が静かに続く1杯でした。


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コーヒーと共に楽しめるのが、地元の人たちによる出店です。地域団体「花坂さくら会」お手製のおでんやコンニャク串、豚汁のふるまいもあり、地元で収穫したこんにゃく芋を使った手づくりコンニャクは、味がしっかり染みてぷるぷるの食感。少し肌寒い気候の中で冷えた体をやさしく温めてくれました。


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さらに、高野山の伝統工芸「高野紙」の紙すき体験や地元野菜の販売も行われ、地域の魅力がぎゅっと詰まった空間に。コーヒーをきっかけに各駅を巡りながら、地域の人の温かさにも触れられる。このフェスならではの醍醐味を、ここでも感じられました。

原点の場所で味わう、懐かしい地域の温もり

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山深い紀伊神谷駅の近く、急坂を登った先にある旧白藤小学校跡では、出店常連者である「coffeeしらふじ」が来場者を迎えていました。2008年に廃校となった木造校舎をリノベーションした廃校カフェで、地元の人に長く愛されている場所です。校舎内では他にもコーヒー店や米粉マフィン店、地元のファーマーによる軽食が楽しめました。


オーナーの刀祢(とね)さんは、この地域が地元。週末にお店を開き、カウンターに立っています。「天空は多くの出会いや縁を運んでくれた存在。感謝を込めて、たくさんの幸せと少しの切なさを感じてもらえる味にしました」。この日提供されていたのは、中浅煎りの「神谷マイルドコーヒー」。滝の湧き水を1時間半かけて汲み、丁寧に淹れられた1杯は、やわらかく澄んだ口当たりで、どこか懐かしい温もりが感じられます。


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お店がある神谷地区は、かつて高野山への参詣者で賑わった宿場町。人の流れは減ったものの、今も地域の人たちは新しい交流のかたちを模索しています。「coffeeしらふじ」も、そんな思いに共感する仲間たちの協力で生まれたカフェです。


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職員室や教室、中庭などで思い思いにカップを傾ける人たち。木の香りとコーヒーの香りが混ざり合う校舎の中では、ふとした会話からまた新しい縁が生まれていました。


この場所は、「高野山とふもと ジャパンコーヒーフェスティバル」のの前身となった“おためし”の「Japan Coffee Festival in 紀伊神谷」の開催地でもあり、まさにイベントの原点。地元の人々も多く訪れ、来場者が地域の人たちとコーヒーを囲んで挨拶を交わす、温かい時間になっていました。

天空がつないだご縁を新たな観光列車へ乗せて

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高野山のふもとが舞台になったこのイベントは、列車に乗り、歩き、そしてコーヒーを味わう体験そのものが主役です。各駅には個性豊かな「駅スタンプ」が設置されていて、パンフレット内の記念帳に立ち寄った駅の思い出をひとつずつ集めていく楽しみも。


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主催の中川さんは「沿線の駅には、まだ知られていない魅力や人の温かさがあります。コーヒーをきっかけに、地域の風景をもう一度見つめてほしい」。実行委員会のメンバーも、「列車を乗り継いで会場を巡るコーヒーフェスは、全国でもここだけ。世界でも他に聞いたことがありません」と語ります。


「地域の方々や来場者の皆さんが鉄道を通じてつながり、沿線の魅力を再発見してくださることをうれしく思います。観光列車『天空』が結んできたご縁を、次にデビュー予定の新しい観光列車にも乗せていきたいです」と南海電鉄の担当者。


「高野山とふもと ジャパンコーヒーフェスティバル 高野山とふもと」ではこれまで、和歌山や大阪などをはじめ、関東・東海エリアなどからも約1,200人が訪れています。

取材当日も、駅のホームや車内、会場で、お気に入りのコーヒーを探しながら笑顔で語り合う姿が見られました。


次回の「高野山とふもと ジャパンコーヒーフェスティバル 高野山とふもと」は、来年の春と秋に開催予定。季節が巡るたび、また新しい香りと出会いが、この沿線を彩ってくれるでしょう。


高野山とふもと ジャパンコーヒーフェスティバル2025秋

開催日20251018日(土)・19日(日)

TEL 080-3300-6410(日本コーヒーフェスティバル実行委員会)

公式サイト高野山とふもと ジャパンコーヒーフェスティバル 2025 秋

Instagramジャパンコーヒーフェスティバル実行委員会

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※ 掲載情報は施設・店舗の都合により変更する場合がございます。お出かけの際は施設・店舗へご確認の上お出かけいただきますようお願いいたします。

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